JUDGE
審査委員紹介
二次審査・公開審査 審査委員
審査委員長
末光弘和
九州大学大学院 准教授
SUEP.
プロフィール写真:Masatomo MORIYAMA
1976年 愛媛県生まれ
1999年 東京大学建築学科卒業
2001年 東京大学大学院修士課程修了
2001~06年 伊東豊雄建築 設計事務所
2007年~ SUEP.主宰
2009~11年 横浜国立大学大学院Y-GSA設計助手
2020年〜 九州大学大学院准教授
主な受賞
2019年 第29回芦原義信賞(淡路島の住宅)
2018年 グッドデザイン賞金賞(淡路島の住宅)
2011年 第27回吉岡賞(地中の棲処)
主な作品に「淡路島の住宅」(2018年、兵庫県)、「九州芸文館アネックス1」(2013年、福岡県、日本設計と共同設計)、「ミドリノオカテラス」(2020年、東京都)、「SOLSO FARMオフィス」(2022年、神奈川県、SOLSOと共同設計)、「百佑オフィス」(2023年、台湾、RHTAAと共同設計)など。2022年に、東京と福岡にて「末光弘和+末光陽子 / SUEP. , Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」を開催。地球環境をテーマに国内外で建築の設計活動を展開。
審査委員
磯野真穂
人類学者
東京工業大学リベラルアーツ教育研究院教授
人類学者・博士(文学)/ 修士(応用人類学)。1999 年、早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。オレゴン州立大学応用人類学研究科修士課程修了後、2010年、早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。早稲田大学文化構想学部助教。国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より在野の研究者となる。文化人類学を大学や専門分野を超えて、広く多くの人に開きたいという目的のもと、一般に向けた人類学の講義や、行政、企業、NPOとのコラボなど幅広い領域で人類学の応用可能性を模索している。
単著に『なぜふつうに食べられないのか―拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界―「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想――やせること、愛されること』(ちくまプリマ―新書)、『他者と生きるーリスク・病い・死をめぐる人類学』(集英社新書)、共著に『急に具合が悪くなる』(宮野真生子との共著)がある。
(オフィシャルサイト:http://www.mahoisono.com/ Blog: http://blog.mahoisono.com/)
〈建築新人戦に対して一言〉
建築は、言葉なしに私たちに語りかける、際たるモノの1つだと思います。皆さんの建築からの語りかけに耳を澄ませ、新人戦に参加させていただきたく思っています。
門脇耕三
明治大学教授
アソシエイツ
プロフィール写真:(c) Sara-Sera
建築家、建築学者。明治大学教授、アソシエイツ株式会社パートナー。博士(工学)。
1977年神奈川県生まれ。2000年東京都立大学工学部建築学科卒業。2001年東京都立大学大学院修士課程修了。東京都立大学助手、首都大学東京助教などを経て現職。現在、明治大学出版会編集委員長、東京藝術大学非常勤講師を兼務。第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展にて日本館のキュレーターを務める。
https://www.kkad.org/
〈代表作品〉
タイトル:第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展
日本館展示「ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡」
コンセプト:ごくあたりまえの日本家屋をイタリア・ヴェネチアへと運び、フォリーや家具などとしてアップサイクルするとともに、その歴史を展示。建築の持続可能性や共有不可能性に関する哲学的議題を提出している。
白須寛規
摂南大学講師
design SU
1979年 京都府生まれ
2002年 大阪市立大学生活科学部生活環境学科卒業
2004年 同大学大学院修士課程修了
2006年 島田陽建築設計事務所勤務を経て
2010年 design SU設立
2019年より摂南大学理工学部建築学科講師
〈代表作品〉
タイトル:並びの住宅
コンセプト:南北に隣り合っている二つの住宅である。それぞれに住む二つの世帯は親族であるが、尊重し合う別々の世帯としてそれぞれの家が求められた。
一般的に、隣り合った敷地というのは敷地境界線で明確に区切られている。 しかし街を観察すると枝が越境したり壁の位置が揃っていたりして、そこに弱い連続性を見出すことができる。そうした弱い連続性をヒントに、丁寧につなぎ合わせ関係性を縫い合わせていくように設計を進めた。建物の建ち方についても街を参照することで関係が途切れないようにした。こうしてできた二つ建物は、全く違った構成でありながら、室内から街並みまで様々なスケールでシークエンスが連続する、二つのような一つのような住宅である。
津川恵理
ALTEMY
2015年早稲田大学院修了。2015-2018年組織設計事務所勤務。2018-2019年文化庁新進芸術家海外研修員としてDiller Scofidio+Renfro (NY)勤務。 2019年神戸市主催神戸三宮駅駅前広場コンペ最優秀賞受賞を機に帰国し、ALTEMY代表として独立。 東京理科大学、早稲田大学、東京電機大学院、日本女子大学非常勤講師。 ポーラ美術館「Spectra-pass」(2021) 神戸市阪急神戸三宮駅前「サンキタ広場」(2021) 山口情報芸術センターYCAM「Incomplete Niwa Archives」展示制作(2021) まちの保育園 南青山(2024)などに従事。 国土交通省都市景観大賞特別賞、土木学会デザイン賞優秀賞、東京藝術大学エメラルド賞、日本空間デザイン賞、他受賞。
〈代表作品〉
タイトル:阪急神戸三宮駅前サンキタ広場
コンセプト:凸状の円盤や斜めに伸びるC型のオブジェにより、マジョリティな使われ方を解体し、マイノリティの集合となる公共空間を模索した。恣意的に設定される寸法と、コンピューテーショナルな技術で生成される寸法の境界を設計することで、設計者が意図した用途や人流と、予想を超えた使われ方が、共存するように設計している。
一次審査 審査委員
審査委員
光嶋裕介
光嶋裕介建築設計事務所
プロフィール写真:(c) Ani WATANABE
1979年 米ニュージャージー州生まれ
2002年 早稲田大学大学院修了
2004年〜2008年 ザウアブルッフ・ハットン・アーキテクツ(独・ベルリン)勤務
2008年 光嶋裕介建築設計事務所を開設。
2021年~2024年 神戸大学特命准教授
主な作品に、《凱風館(神戸、2011)》、《森の生活(長野、2018)》、《桃沢野外活動センター(静岡、2020)》など。2015年にAsian Kung-Fu Generationの《Wonder Future》全国ツアーのステージデザインとドローイングを提供。主な著書に、『幻想都市風景』(羽鳥書店、2012年)、『ぼくらの家』(世界文化社、2018年)、『増補 みんなの家』(ちくま文庫、2020年)など多数
光嶋裕介建築設計事務所 www.ykas.jp
〈代表作品〉
タイトル:桃沢野外活動センター
コンセプト:桃沢野外活動センターは、静岡県三島の近くの自然豊かな公園の中にあって、宿泊施設としてのコテージや野営炊事場を中心に10を超える群としての建築を周辺環境との調和を目指して設計し、地域に開かれた表情豊かな空間となっている。五感をもって身近に自然を感じる空間体験を提供している。
山口陽登
大阪公立大学講師
YAP
1980年大阪生まれ。2003年大阪市立大学工学部建築学科卒業。2005年大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻修了。2005年〜2013年日本設計。2013年〜siinari一級建築士事務所主宰。2019年株式会社YAPに改組。2021年〜大阪公立大学(旧大阪市立大学)工学部建築学科講師。
主な受賞に、SDレビュー2014鹿島賞、グッドデザイン賞、JIA関西建築家新人賞など。
〈代表作品〉
タイトル:一乗寺の住宅
コンセプト:「<樹>に<巣>をつくるようにリノベーションする」
マンションの一住戸をフルリノベーションする計画である。対象住戸は築40年、RC造9階建ての ビンテージ マンションの5階角部屋で、三面から採光・通風を確保できる。また、周辺よりやや 高い場所に位置し、東 側バルコニーからは瓜生山を望むことができる自然豊かな場所に建ってい る。既存住戸は間仕切り壁によって2LDKのプランに区切られていて、周りの自然環境を住戸全体 で感じ取ることはできない状態であった。玄関からリビング・バルコニーへと繋がるクローズド な廊下で、寝室や浴室といった閉じた「箱」をつないでいた。間仕切りを全て解体し、スケルトン のワンルームにすると、住戸全体に光と風が回遊した。玄関を入ってすぐにバルコニーから瓜生 山の緑を感じることができた。この心地よい光と風を部屋ごとに分断するのではなく住宅全体で 感じられ、それでいて落ち着けるスケールの空間を作れないか。
一室空間のスケルトンを敷地と見立てて、幅1間半(2.7m)奥行き4間(7.2m)のポーラスな「巣」を 住宅の 中心に建設した。RCの堅くて強いマンションの躯体と、生活風景を生み出す家具の間を つなぐような、25mm角の鋼管で組まれた立体物である。内部には寝室・ピアノスペース・ダイニ ングを配置した。 その立体物のまわりに、土間玄関、バススペース、洗面脱衣スペース、トイレ、 キッチン、クローゼットなどをひとつながりに配置し、巣に絡まるように生活風景が生まれる。 音楽家の施主がピアノを弾くと、住戸のどこにいてもその音色を感じることができる。構築物の外 側は全ツヤ塗装とし、3面から入る光 を反射させながら光と風が回遊する。三方向から入る光は 立体物の存在によって、明るさの濃淡を生み出す。間仕切り壁と表面の仕上げで場を作るのでは なく、「巣」を建てることによって場を作るリノベ ーション手法の提案。
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Small Space / Giant Furniture
住戸中央に配置された「巣」は、鉄骨造のポーラスな構築物である。25mm×25mmの角形鋼管 を中心に構築し、強度と薄さを両立している。
22個に分割した各ユニットは、普段高い精度でプロダクトを製作する、東大阪の鉄工所で製作し た。運び込まれた各ユニットをクレーンで吊り上げ、北側のルーフガーデンに仮置きした後に搬入 し、現場で溶接する。建築に近いスケールの空間を、家具に近いスケールの小さな部材で構築し た「巣」は、巨大な家具(GiantFurniture)のようでもあり、小さな空間(SmallSpace)の連続体で もあるような、不思議な質感の生活風景を生み出す。
岸上純子
一級建築士・大阪工業技術専門学校特任教員
SPACESPACE一級建築士事務所
1979年大阪生まれ。神戸大学大学院終了後、坂倉建築研究所勤務を経て、SPACESPACE一級建築士事務所共同主宰。
阪急中津駅に近い「中津商店街」の中の大正2年築の長屋を2017年に購入。2年をかけて自ら住居兼事務所としてリノベーション。
拠点を中津商店街に移し、住宅や店舗、集合住宅等様々な建築の設計を行う傍ら、商店街の活気ある存続を望み、活動をしています。
2018年、2019年の夏には「中津ぼんぼり祭り」を主催。2020年1月からは、事務所の前で、「ツキイチ屋台」を始め、各地から多くの人が訪れるイベントとなっています。
近年はその経験を活かし、各地の商店街をはじめとする、まちの課題を建築と経営的な視点で解決する取り組みをしています。
〈代表作品〉
タイトル:SPACESPACEHOUSE
コンセプト:この作品は、現代において設計事務所というビルディングタイプと建築のデザインと建築家という職能が、まちや社会に対してどうアプローチし、いかに貢献するのかということへの実験と挑戦の形です。大阪の中心街にあるにも関わらず人通り緒疎らな商店街の中心部に大正2年から建つ長屋を、事務所併用住宅として改修しました。当初の下駄履き住宅の形式を更に進め、設計事務所と住居の大きな2部屋を積み重ねた形式としました。
外観については、高さや軒、雨戸レール等の商店街と連続する水平ラインを残したまま綺麗にする程度の改修に留めています。シャッター街となった商店街に光を灯すように、まずはシャッターを取り除き大きな窓を取り付けました。また、内外に入り組んだ窓台はベンチや駐輪スタンド・ショーウィンドーの様な人と物の居場所を作り出します。そして、この窓は「見られるための窓」でもあります。えんじ色のカーテンを開けるとショーウィンドーは室内全体に拡大されます。
展示されるのは建物の歴史、リノベーションの方法や事務所の活動、記録、生活等です。
様々なキャラクターの柱は商店街を向いて並べられ、時計塔は通行人に時刻を知らせます。
ホワイトボードとセットになった客席型下足箱は講演会場を作り出します。目地で区切られた標本床には、現場で作った色見本やモックアップ等が置かれています。2階住居では、抜き穴や木舞の欠込みを利用して取り付けられた板や棒材が、躯体と共に生活を形作ります。これらのガジェットが作り出すシーンの重ね合わせからこの事務所兼住宅はできています。
また竣工一年後、前面道路(私道)の一部に、ガジェットの一つとして、外壁の標本壁の施工時に使用する足場にもなる可動式屋台を設置。この屋台を使い、月に一度の「中津商店街のツキイチ屋台」を行い、4年目を迎えました。この屋台を通し、まちを知ってもらい、人をまちに誘引することでここ数年の間に商店街の空家がほぼなくなり、活気が戻るきっかけとなっています。
小林恵吾
早稲田大学准教授
NoRA
1978年東京生まれ。2002年早稲田大学理工学部建築学科卒業。2005年ハーバード大学大学院デザイン学部修士課程修了後、2012年までOMA-AMOロッテルダム事務所に勤務。主に北アフリカと中東地域のプロジェクトを多数担当。その後、早稲田大学創造理工学部建築学科助教を経て2016年より同大学准教授。NoRA主宰。主な作品に「第14回ヴェネチアビエンナーレ国際建築展日本館展示計画」、「東京国立近代美術館Gordon Matta-Clark展会場計画」、「House +O」など。
After studying at the Department of Architecture at Waseda University, Tokyo, Japan, and completing a Master’s Degree at the Harvard Graduate School of Design, Cambridge, USA, in 2005, Kobayashi was involved in numerous major projects at architecture design firm called OMA in Rotterdam with Rem Koolhaas until 2012. During his years at OMA, he served as the project leader for various building types and urban-design projects in several Middle Eastern and North African countries. In 2012, Kobayashi started teaching design at Department of Architecture of Waseda University, in parallel with architectural practice under the office name of NoRA (Network of Research and Architecture). Kobayashi’s recent works involves wide variety of spatial design, from housings and apartment buildings to exhibition designs and theatrical designs. Some of his works includes “Exhibition Design of 2014 Venice Architecture Biennale Japanese Pavilion”, “Gordon Matta=Clark Exhibition design at MOMAT", and "House +O".
榊原節子
榊原節子建築研究所
プロフィール写真:(c) YUNAGI MIKI
1970年愛知県生まれ
1993年名古屋大学経済学部卒業
1993〜2005年東海旅客鉄道(JR東海)
2005〜09年arte空間研究所
2009年榊原節子建築研究所設立
2014年〜大阪芸術大学非常勤講師
主な受賞歴
2013年 SDレビュー朝倉賞/2014年 JIA近畿支部第9回関西建築家新人賞審査員奨励賞/2019年 令和元年度公社茶山台団地住戸改善事業提案競技最優秀賞
〈代表作品〉
タイトル:大開のアトリエ住居
コンセプト:大阪・下町の商店街にある元飲食店であった建物を、自身のアトリエと住居として改修した。 1階のアトリエは開放的なつくりとし、日々の設計活動と街の営みを相互に関連づけ、 「生き生きとした場所」を提供することを目指している。
白須寛規
摂南大学講師
design SU
1979年 京都府生まれ
2002年 大阪市立大学生活科学部生活環境学科卒業
2004年 同大学大学院修士課程修了 2006年 島田陽建築設計事務所勤務を経て
2010年 design SU設立
2019年より摂南大学理工学部建築学科講師
〈代表作品〉
タイトル:並びの住宅
コンセプト:南北に隣り合っている二つの住宅である。それぞれに住む二つの世帯は親族であるが、尊重し合う別々の世帯としてそれぞれの家が求められた。一般的に、隣り合った敷地というのは敷地境界線で明確に区切られている。 しかし街を観察すると枝が越境したり壁の位置が揃っていたりして、そこに弱い連続性を見出すことができる。そうした弱い連続性をヒントに、丁寧につなぎ合わせ関係性を縫い合わせていくように設計を進めた。建物の建ち方についても街を参照することで関係が途切れないようにした。こうしてできた二つ建物は、全く違った構成でありながら、室内から街並みまで様々なスケールでシークエンスが連続する、二つのような一つのような住宅である。
西澤俊理
滋賀県立大学准教授
Nishizawa Architects
2005年 東京大学大学院修士課程修了
2005〜2009年 安藤忠雄建築研究所 勤務
2009〜2011年 VoTrongNghia architects パートナー
2011〜2015 年 Sanuki+Nishizawa architects 共催
2015年〜 Nishizawa Architects 主宰
2021〜2023 年 名古屋造形大学非常勤講師
2023年〜 滋賀県立滋賀県立大学 環境科学部 環境建築デザイン学科 准教授
〈代表作品〉
タイトル:チャウドックの家
コンセプト:ベトナム南部、アンザン省チャウドックの郊外に計画された、多世帯住宅である。現地でのごく標準的な建設予算(トタン製の住宅がようやく建てられる程度)という条件下、3枚のバタフライ屋根で敷地全体を覆い、それぞれの屋根の間から光や風をふんだんに取り込む。天井の高い吹き抜けには樹木や水庭を設け、家全体が半屋外の公園のような開放的な住まい方を提案した。
畑友洋
神戸芸術工科大学准教授
畑友洋建築設計事務所
1978年兵庫県生まれ
2001年京都大学工学部建築学科卒
2003年京都大学大学院工学研究科修了
2003年高松伸建築設計事務所入社
2005年畑友洋建築設計事務所設立
現在、神戸芸術工科大学准教授、京都大学非常勤講師
渡辺節賞(2016)
日本建築学会作品選集新人賞(2017)
日本建築設計学会賞(2018、2022)
JIA新人賞(2023)他
〈代表作品〉
タイトル:甲陽園の家
コンセプト:西宮市にある住宅。建材の運搬もままならない場所で、二枚一組のLVL材による小さなピースを組み合わせた組木アーチを十字形状の柱型に組み合わせることで人の手で組み立て可能な架構の仕組みを考案。十字柱の直行座標と斜行するヴォールト屋根の座標という異なる2つの座標を天地で重ねることで空間の多軸性を創出した。物理的な空間の枠を超え、認識における住まいの空間を多軸的な周囲の街へと拡張しようと試みた。
前田茂樹
GEO-GRAPHIC DESIGN LAB. (GGDL)
プロフィール写真:(c) Yuna Yagi
大阪大学建築工学科卒業。東京藝術大学大学院中退。設計事務所としてジオ-グラフィック・デザイン・ラボを主宰し、公共建築から住宅や公園の設計を手掛ける。2023年からは、徳島の(仮称)おきのすインドアパークの運営する株式会社ジオグラフィックデザインを立ち上げ、施設の館長に就任。神戸芸術工科大学、近畿大学にて非常勤講師。2024年から京都芸術大学 特任教授。
編著:「海外で建築を仕事にする」(学芸出版社) 受賞:第25回日経ニューオフィス賞 近畿ニューオフィス奨励賞、グッドデザイン賞2020、2021、日本建築美術工芸協会賞入選
〈代表作品〉
タイトル:三宅町交流まちづくりセンターMiiMo
コンセプト:地形のような、おおらかな多世代の居場所場所づくり
人口7000人弱の三宅町「多世代がつながり地域の魅力が創出される町民ひとりひとりの居場所」を掲げるプロポーザルにて34社の中から選定され、公民館、図書室、学童保育、子育て支援施設など、複数施設の用を満たしながら、建築による地形によって、皆がやりたいことを実現し、それを共有できる居場所を創り出している。
雨の多い日本において、大屋根が地形を覆っていることと、建築や屋根の「向き」は環境を一体でデザインする際に最も重要な要素である。MiiMo竣工後に旧公民館が解体された後の配置計画を、シエナのカンポ広場のように、市民ホール、市役所、MiiMoが広場を中心に向き合うように提案した。自然の地形のような、屋根の下の大階段は、雨の日でも子どもたちが遊べる場所となる。子どもたちは、2階に配置した学童に直接アクセスでき、同時に2階から大階段を降りて直接広場に出ることができる。役場の出入り口に繋がる参道である大屋根の下が、子どもたちの遊び場になり、広場と建築の一体利用を促進する。町民をこの場所の使いこなせるよう耳を傾けつつ、それを包括する地形のようなおおらかな場所づくりは、パブリックスペースの本来の意味である「皆がここに居てもよいという感覚」に繋がっている。
宮原克昇
近畿大学 准教授
FlipLA
京都大学工学部地球工学科卒業
ペンシルバニア大学大学院デザイン学部ランドスケープアーキテクチャー学科修了
米国ランドスケープ設計事務所勤務後帰国、国内設計事務所を経て現在近畿大学建築学部准教授、FlipLA主宰
〈代表作品〉
タイトル:The Sydney Modern Project
コンセプト:既存の歴史ある美術館と新しく増築された現代美術館をつなぐランドスケープデザイン